海外の会社と取引をする方・英文の契約書案を示された方へ管轄・準拠法・仲裁まで、
海外取引の契約書を
海外の会社と取引をするとき、契約書には国内の取引にはない問いが加わります。もめたときにどこの国の裁判所に訴えられるのか、どこの国の法律で判断されるのか、仲裁にするのか裁判にするのか、日本語版と英語版が食い違ったらどちらが正しいのか、代金はどの通貨でいつ誰が払うのか、輸出入の規制に触れたらどうなるのか、といった問いです。国内の契約書の雛形に「海外」の一文を足せば済む、というものではありません。このガイドでは、海外の会社に商品やサービスを売る方、海外から仕入れる方、海外に制作・製造・開発を頼む方、英文の契約書案を示されて見るべき箇所が分からない方に向けて、取引の型の選び方、国際裁判管轄と管轄の合意、準拠法、仲裁条項、判決や仲裁判断の執行、英文契約書の読み方、署名と電子署名、代金と為替、輸出入規制、知的財産・秘密保持・個人データ、トラブルになったときの流れまでを、条文と公表資料に沿って一般的に整理しています。個別の紛争の代理、外国法の内容の判断、通関・関税の計算は扱いません。
海外の会社と取引を始める方

国内の契約書に足す5つの問いと、取引の型から決める
海外の相手との契約書では、どこで争うか、どの国の法律によるか、どの言語で書くか、どの通貨で払うか、どの規制に当たるかという、国内の取引にはない問いが加わります。管轄と準拠法は別の問いなので、分けて確かめます。
直接の売買、販売店、代理店、委託製造、ライセンスのどの型で取引するかによっても、契約書の骨格が変わります。型を決めてから条件を書く順番を、全体の地図から確かめます。
管轄・準拠法の条項を決めたい方

管轄の合意と準拠法の選び方
契約に管轄の定めがないとき、日本の裁判所で訴えられるかどうかは、民事訴訟法の定める管轄の規定で決まります。合意をするなら、書面または電磁的記録で、専属か非専属かを書き分けます。
準拠法は、法の適用に関する通則法で、当事者の選択と選ばなかったときの規則が決まっています。日本法を選んでも、消費者契約や強行規定には別の扱いがあります。
仲裁と、回収の備えを考えたい方

仲裁条項の組み立てと、判決・仲裁判断の執行
仲裁条項は、機関・規則・仲裁地・言語・仲裁人の数・費用の按分を書いて初めて、実際に動く条項になります。仲裁合意があると、裁判所への訴えが却下される仕組みも確かめます。
日本で勝っても、相手の財産が外国にあれば、その国で認められなければ回収できません。契約の段階でできる備えを整理します。
英文の契約書案を示された方

英文契約書の読み方と、署名・成立の確認
英文の契約書は、前文・定義・本体・一般条項・署名という標準的な構造をもちます。完全合意、表明保証、補償、責任制限などの一般条項の意味を、日本の契約書との違いとあわせて読み解きます。
署名者の権限、電子署名、署名日が両者で違うときの書き方、日本語版と英語版の優先関係も、締結前に確かめておく項目です。
代金・為替・輸出入規制を確かめたい方

代金の決め方と、輸出入規制の遵守条項
代金は、通貨、換算の基準日、送金手数料の負担、為替が動いたときの分担を決めます。協議するとだけ書く方法の弱さも確かめます。
輸出入には、外国為替及び外国貿易法と関税法の規制があります。許可が要る貨物・技術の考え方と、契約に入れる遵守・停止・解除の条項を整理します。
知的財産・データ・トラブルで困っている方

成果物の権利、秘密、個人データ、揉めたときの順序
海外の委託先が作った成果物の権利、渡した秘密、送った顧客の情報は、契約で決めておかないと取り戻しにくくなります。成果物の帰属、利用許諾の範囲、営業秘密、国外への個人データの提供の確認事項を整理します。
代金が入らない、連絡が取れないといったときに最初に確認する順番と、外国にいる相手への送達や証拠の保存の考え方もまとめています。
このガイドの解説ページ
よくあるご質問
管轄と準拠法は、どう違うのですか?
管轄は、どの国の裁判所が事件を審理できるかという問いです。準拠法は、その事件をどの国の法律で判断するかという問いです。別の問いなので、日本の裁判所で審理しても外国の法律が適用されることがありますし、その逆もあります。契約書では、管轄の条項と準拠法の条項を分けて書きます。
契約書に管轄の定めがないと、海外の相手を日本の裁判所で訴えられますか?
定めがなくても、民事訴訟法の規定により日本の裁判所に管轄が認められる場合があります。たとえば、契約において定められた債務の履行地が日本国内にあるときなどです(民事訴訟法3条の3第1号)。ただし、管轄が認められても、特別の事情があれば訴えが却下されることがあります(同法3条の9)。
管轄の合意はどう書けば効力が生じますか?
管轄の合意は、一定の法律関係に基づく訴えについて、書面でしなければ効力を生じません。電磁的記録によるものは書面とみなされます(民事訴訟法3条の7第2項・第3項)。外国の裁判所にのみ訴えを提起できるとする合意は、その裁判所が裁判権を行えないときは援用できません(同条第4項)。消費者契約と個別労働関係の紛争には特則があります。
仲裁条項には何を書けばよいですか?
仲裁機関と適用する規則、仲裁地、仲裁手続の言語、仲裁人の数と選び方、費用の按分を書きます。仲裁地や言語を書かないと、手続を始める段階で争いになりやすくなります。仲裁合意は、当事者が和解することができる民事上の紛争を対象とし、書面でしなければ効力を生じないことなどが、仲裁法に定められています。
日本で勝訴すれば、海外の相手から回収できますか?
日本の判決が外国で効力をもつかどうかは、その外国の法律や条約によります。日本の側から決められるのは、契約の段階で、相手の財産がある国を意識して管轄・仲裁・準拠法を選び、前払いや担保などの支払方法を組み込むことです。外国の判決が日本で効力をもつ要件は民事訴訟法118条に、執行の手続は民事執行法24条に定められています。
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運営事務所・ご相談のご案内監修:アトラス行政書士法人(代表社員 荒木素子・特定行政書士) 最終確認日:2026年10月15日